宝石サンゴの話

特徴Story of Coral

サンゴは水深100m~300m、あるいは1000m前後で成長する「宝石珊瑚」と、海岸で見られる浅瀬の「造礁珊瑚」があります。ジュエリーとなるのは「宝石珊瑚」で、高知県沿岸を中心に採れるサンゴは世界一美しいといわれています。

「宝石珊瑚」は、アカサンゴ、モモイロサンゴ、シロサンゴの3種類に分けられます。サンゴは表面を研磨することで、美しい色を表します。アカサンゴは血赤サンゴのような深みのある赤になります。モモイロサンゴは、淡いものから濃い色まで上品なピンク色が楽しめます。シロサンゴは文字通りピュアな白になります。

サンゴの原木(枝)は、アカサンゴで最大でも直径30mm程度ですので、大きな珠を削り出すことができません。一般的な珠は直径5〜10mmで、「フ」(白色化した部分)やシミなどがない、大きなものは高価になります。

硬さは真珠に近く、真珠と同じように扱えば末永く愛用できます。磨き直しができるという点では、むしろ真珠よりも扱いやすいジュエリーです。

Roughly coral categorized into two types: one is that grows about a depth of 100-300m or 1000m, the other is reef coral inhabit in the shallow water. The former is used as material to produce jewelry, so often it is called “precious coral.” When you talk about the quality, the precious coral harvested in the Kochi Bay is best in the world.

Coral has three different colors, red, Momo coral, and white. With polishing and carving the surface, the coral features the lustrous, vibrant color. Red coral becomes oxblood coral, Momo coral emphasizes its pinkish hue, and white coral grows more appealing with pure snow white.

In general, the diameter of raw coral wood is about 5-10mm, and even the most abundant red coral, the maximum size is about 20mm, and therefore, the larger the rare. The coral without any defect, of course, valued at a higher price. Coral is solid as a pearl. Like a pearl, coral lasts beauty of color and luster as long as taken carefully; when the surface lost its brilliancy, the coral will revive quickly by polishing.

歴史History of Coral

サンゴの最も古いものは、ドイツの旧石器時代の遺跡で発掘された一つの珠といわれます。サンゴの赤い色は血液を連想させることから、古代ローマ時代には出産の神秘や幸福な結婚などに結びつき、安産のお守りや魔除けとして用いられるようになりました。

シルクロードを通じて日本に伝えられるまでにネパールやインドなどで装身具として広まります。仏教においては極楽浄土に飾る「七宝」の一つとして挙げられ、日本でもお守りとして使う習慣が定着しました。

長らくサンゴといえば地中海で採取されるサンゴをいい、特に18世紀以降は南イタリアのトーレ・デル・グレコがサンゴ産業の中心地でした。19世紀、高知県の土佐湾でサンゴが発見されると、種類の豊富さと美しさで知られるようになり、明治にはイタリア商人がサンゴを求めて高知に訪れ、日本の宝石珊瑚は世界で有名になりました。

「宝石珊瑚」は直径1cm成長するのに50年もかかるといわれます。併せて地球温暖化など海の環境の変化も受けて、近年ますます希少になっています。

What is impressive is that the oldest coral was one founded in the Paleolithic age in Germany. In the ancient Roman period, as the reddish color of coral reminded the color of blood, coral was worn as an amulet of safe childbirth and happiness of marriage.

Coral was one of the significant merchandise of the Silk Road trade routes connecting the East and the West. The people in India and Nepal wore coral as jewelry, and at the same time, in Buddhism, coral was listed as one of a jewel of The Seven Jewels of Royal Power. Japan welcomed the Mediterranean Sea coral as a charm against evil.

In the 18th century, the Mediterranean Sea coral made in Torre del Greco, Italy represented all the coral and the city developed in the name of the coral jewelry. The reputation was changed when the coral habitat discovered in the Kochi bay in the 19th century. By abundant resources of different types of coral, Kochi didn’t take time to attract the world. In the Meiji era (1868-1912), buyers came from Italy to Kochi traveling a long distance.

お手入れHow to care a coral jewelry

汗や酸性の液体が付着しないように
普段の生活では、化粧品、果汁などがついたら、すぐに柔らかい布で拭き取りましょう。
入浴ははずしてから
サンゴは多孔質で水分を吸収しますので、入浴時ははずしましょう。
料理もはずしてから
サンゴは酸や熱に弱いので、高温なものには近づけないようにしてください。万が一を考えて、お料理のときははずしましょう。
保管時の注意
ダイヤモンドや貴金属など硬いものにぶつかると、キズが付く場合があります。区切りのある宝石箱か、個別に柔らかい袋などに入れて保管しましょう。
アフターケア
長年愛用していると、表面の光沢が少なくなりぼんやりとしてくることもあります。その場合は、購入された宝石店などで磨き処理をすると色つやが戻ります。
ネックレスは定期的に糸替えをおすすめします。ネックレスの片方を持ってつり下げたとき、隙間が大きくなっていたり、着けたときのバランスが変わったら、糸替えの時期です。

The significant component of coral is calcium carbonate, and it absorbs moisture. The followings are tips to maintain the beauty of coral.

  • Wipe jewelry with a soft fabric regularly after you wore.
  • Take off when you cook.
  • Sweat, dust, detergent, fruit juice cause loss of luster and color change.

サンゴの種類

宝石珊瑚には多様な種類がありますが、主に日本海沿岸で採取できるのは、アカサンゴ、モモイロサンゴ、シロサンゴです。色の趣に応じて名前が付いています。

血赤サンゴ

血赤サンゴOxblood

日本沿岸で採取され、艶やかに輝く。特に土佐沖で採取される深みのある赤は最高ランクとされ、躍動感を感じる血液のような生命の赤色は、オックスブラッドとも呼ばれる。

胡渡サンゴ

胡渡サンゴMediterranean Red

地中海沿岸の水深50〜200mの浅瀬で採取され、国産のサンゴに比べ小ぶりで、海洋生物を巻き込みながら成長しやすい。
色はまったりとした赤色でフが無く単一な色調。業界ではサルジと呼ばれる。
宝石珊瑚の歴史では一番古く、シルロードを通り日本に入って来た。

桃サンゴ

桃サンゴMomo

日本沿岸で血赤サンゴよりやや深い200〜500mで採取され、モモイロサンゴの中でも柿色を指す。他の種類と比べて幹が比較的大きく、主に彫刻を施す工芸品に利用される事が多い。

エンゼルスキン

エンゼルスキンAngel Skin

モモイロサンゴの種類でも、色調が最も淡く白に近いクリームがかったピンク色で、天使の肌の様に優しく美しい。日本では古くからボケと呼ばれ、現在では水揚げがほぼゼロに等しい。

フェニックス

フェニックスPhoenix

モモイロサンゴの種類で、エンゼルスキンよりやや色が濃く、サーモンピンクの色調。不死鳥の名の通り業界でも滅多に出回らなく大変希少。

姫サンゴ

姫サンゴHimé

大変美しい桜色で、柔らかな透明感があり、ほのかに赤い色むらがある。
やや硬くヒやマキとよばれる層が入る事も多く、さらに原木がさほど大きく成長しないため、リングやイヤリングに多く用いられる。

白サンゴ

白サンゴWhite

原木の表皮は柿色で一見モモイロサンゴに見えるが、中身は乳白色が基調。
ピンク色の斑紋と黒く見える有機物の斑点が特徴。
無垢で純白な物はピュアホワイトと称される。

カレサンゴ

カレサンゴKaré

宝石珊瑚が海底で枯れ、長い年月をかけ風化したものを指す。
表皮はスになっており軽いが、中心の硬い部分を宝飾用に用いる。
それぞれのサンゴの色にカフェオレを混ぜたような色合いは独特で、
母なる深海の底で歳月を過ごしたパワーを感じる。
近年、学会で紀元前に枯れた物もあると発表され今注目度が高い。